自社ECとは?モール型との違いや立ち上げに必要な基礎知識をご紹介!

自社商品をオンラインで販売するために、ECサイトを立ち上げたいけれど、自社ECを構築するかモール型サイトに出店するか。

このような悩みを抱えている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、自社ECについて解説し、モール型への出店の違いについても説明します。

あわせて自社ECの立ち上げの一連の流れと、必要な知識を紹介します。

この記事でわかること

  1. 自社ECの概略と、モール型との違いやメリット・デメリットがわかる
  2. 自社EC立ち上げに関する構築の流れや必要な基礎知識がわかる

自社ECとは?

自社ECは独自ドメインを取得し、ショップなどを運営するECサイトのことです。自社ECで商品を販売するモデルである「DtoC」が最近では大きく注目を集めています。

自社ECのメリットはブランディングがきちんとできる点です。顧客情報、購買履歴、顧客ごとのサイト利用データなどの細かいデータが得られるので、データ分析に基づいて、購入に結びついたアプローチにつなげられます。特に顧客情報は連絡手段が得られることにより、継続的な宣伝活動や顧客との関係を深められる利点があります。

自社サイトはサイト運営に原則的に制限はないので、販売ルールやサイトの更新方針は自社内ですべて決定できます。

さらに、ここ数年は自社ECの構築が大幅に下がったことも追い風となっています。

特に、「Shopify」「STORES」「BASE」など新興勢力のEC構築サービスが登場し、浸透したことが背景にあります。

自社ECの構築手段は1つではありません。サイトを構築する手段をプラットフォームと呼びますが、予算や構築するサイトの規模により適したプラットフォームは異なってきます。

自社ECの制作タイプには以下のような構築手段があります。

構築手段 初期費用 月額費用 メリット デメリット
ASP 0〜10万円 0〜10万円 ・コストを抑えやすい

・立ち上げのハードルが低い

・出店しやすい

カスタマイズ性が低い
パッケージ 500万円〜 10万円〜 ・サポートが充実

・カスタマイズ性が高い

コストが比較的高い
フルスクラッチ 1000万円〜 30万円〜 カスタマイズ性が非常に高い コストと時間が非常にかかる
オープンソース 0円 10万円〜 ・コストを抑えやすい

・誰でも開発可能

・カスタマイズ性が高い

・構築に高度な知識が必要

・セキュリティが脆弱になりやすい

自社の規模や販売実績を考慮しながら、予算やメリット・デメリットを踏まえつつ構築手段を決めましょう。

モール型との違い

続いてモール型ECの特徴を見ていきましょう。

モール型はオンライン上のショッピングモールで、一つのドメインの大規模なサイトの中で、複数のショップが店を構え商品を出品するECサイトです。代表は「楽天市場」や「Amazon」、「Yahoo!ショッピング」などが挙げられます。

ECモールのメリットは、出品フローやマーケティング施策のサービスが充実しており、EC初心者に向いている点です。

ランキング機能や、季節イベント、モール内の販促イベントなどを実施しており、ポイントキャンペーンや広告による巨大な集客力が見込めるので、開業直後からでも多くのアクセスが期待できます。

構築の初期費用が安く、高いスキルもそれほど必要としませんが、月額利用料や販売手数料が発生します。

以下に自社EC型と、モール型のメリット、デメリットを表にまとめました。

種類 メリット デメリット
自社EC型 ・利益率の高さ

・ブランディングが可能

・リピート率が高い

・自力での集客が難しい

・成果を出すまで時間を費やす

・運営に主体性が必要

モール型 ・集客力

・信頼度の高さ

・初心者でも簡単手軽にできる

・出店料、手数料

・価格競争

・ブランディングが難しい

・顧客情報が取れない

 

自社EC構築の流れ

自社ECの構築手段は大きく以下の4つに分けられます。

  • ASP
  • オープンソース
  • パッケージ型
  • フルスクラッチ型

この中で自社EC構築として、おおよそ自分で構築できるのは「ASP」と「オープンソース」の2つです。

パッケージやフルスクラッチは、開発会社に依頼することが多いです。

以下に構築の流れを表にしました。

ASP オープンソース フルスクラッチ
①ASPの選定 ①オープンソース(使用プラグイン)の選定 ①開発会社選定
②利用手続き ②サーバ・ドメインの手配 ②要件定義
③基本情報登録・システム設定 ③インストール、システム・プラグイン設定
④デザインテンプレートの設定 ④デザインテンプレート選定・設定・加工 ③設計
⑤表示項目仕様の確認 ⑤表示項目仕様の確認 ④開発
⑥商品データ準備・登録作業 ⑥商品データ準備・登録作業
⑦注文テスト ⑦注文テスト ⑤テスト
⑧関連ページの作成 ⑧関連ページの作成
⑨全ページの確認 ⑨全ページの確認
⑩公開 ⑩公開 ⑥公開

次の項目で具体的に流れの中身を見ていきましょう。

EC構築の流れ

具体的にEC構築の流れを、それぞれの工程ごとに解説していきます。

サービスの選定

ASP、オープンソース、パッケージ、フルスクラッチのどの形式にするかを決定し、各構築手法の中からさらにサービスを選定します。

ASPはカート・決済システムなどがインストールされたサーバーをレンタルできるサービスなので、必要なものはあらかじめ揃っています。保守費用や、セキュリティ対策も付随している場合が多いです。

その分できることは限定され、構築後の細かい改修はできないことが多くなってしまいます。用意されたテンプレート、デザイン、システムなどをそのまま加工せず使用しても納得できるサービスを選定しましょう。

オープンソースは使用プラグインを選定します。オープンソース型はカートシステム構築に必要なソースコードが公開されており、誰でも無償で利用できる点が特徴です。

フルスクラッチやパッケージは、開発会社への依頼や製品の購入をします。

利用手続き、インストール

ASPは申し込みをして、利用申し込みをして利用契約を締結します。

オープンソースはサーバーやドメインを取得します。オープンソースは無償でカートシステムのソースコードが取得でき、さまざまな機能が用意されていますが、インストールするサーバやドメインは自己手配が必要で、利用料が発生します。

ECサイト用のプラグインが多数用意されているので、構築したい機能に合わせて用意します。手配したサーバーにオープンソースやプラグインをインストールします。この時、専門の知識が必要となるので注意してください。

パッケージやフルスクラッチは、これ以降の工程は開発会社との要件定義や、設計となります。

基本設定、基本情報の入力

ASPは自社ECのアカウントが作成できたら、サイト名、ショップ名や会社情報などの基本情報を登録します。また決済方法や手数料・配送料などの設定も行います。

オープンソースも同様です。

ショップ作成

必要な設定が完了したら、用意されたテンプレートから好みのデザインを選択します。

トップページやサイト内のバナー、ロゴなどイメージ部分を作成します。

またECサイトの運営で重要な法律である「特定商取引法」について掲載は必ずしましょう。

オープンソースも同様にテンプレートが多数利用可能です。ただ無償提供されているテンプレートをそのまま商用利用することは少なく、カスタマイズのためのHTMLやCSSなどのコーディング知識や技術が必要です。

開業準備、テスト

どのシステムでも同様となり、仕様に沿った商品データの準備と登録作業を行います。

まずは、商品データを準備します。

商品名、金額などのテキスト情報と商品画像の準備が必要です。1つの商品に対して複数の画像が登録できる場合は、商品が一目でわかるメイン画像の他に、角度を変えたり、拡大表示した写真などの、ユーザへより多くの情報を届けられるようにしましょう。価格設定、説明文もしっかり考えましょう。

商品の登録後には、購入システムが正常に稼働するか、必ずテスト注文を行ってください。

決済回りは根幹部分ですので、きちんと確認してください。特に複数設定している場合は、それぞれの決済手段で確認しましょう。

カートシステムが正常に動作しているかの確認はもちろんですが、購入フローに分かりにくさや使いにくい点がないかなどを実際にユーザーの視点からチェックすることがポイントです。

開業

チェックを終えたら、いよいよ開業です。

構築を依頼する

パッケージ型やフルスクラッチ型は、カスタマイズ性も高く、細かくやりたいことが実現できるでしょう。

しかしながら、サイトは大規模で自社構築はかなり難しいため、専門の開発会社への外注が一般的です。

ASP型が充実し、自社ECの構築は以前と比べるとかなり容易となりましたが、構築や制作に関して独自の専門的な知識や知見が必要な場合が多くあります。

ASPやオープンソース型では、すべての工程を自分で行うことも可能ですが、専門知識に乏しい場合や時間をかけられないなどの理由がある場合は構築を依頼することをおすすめします。

外注の際には自社ECに必要な機能や要件を整理します。

以下のポイントを考えましょう。

  • 目的、背景(実現したいこと、解決したい課題)
  • サイトの要件(コンセプト、デザイン、コンテンツなど)
  • システムの要件(必要な機能やシステムなど)
  • スケジュール(納期、リリース日など)
  • 予算(初期費用、月額費用など)

依頼することのメリットや理由を解説します。

豊富な経験と専門的な知識を持つ

ECサイト構築にはある程度のIT知識が必要です。特に必要としないASPサービスも増えていますが、開発言語スキルや、サーバーに関する知識、画像制作のスキルも必要です。

これらを自社で確保することが難しい場合は外注が望ましいでしょう。

また、実際にネットショップを運営するためには、保守や運用の知識も必要となります。

コストを抑えるため

ASPやオープンソースは、無料で構築できる点が魅力の一つです。

しかしながらECサイトを自分で構築すると思いのほか追加費用が発生する場合があります。

また、ECサイトは完成したらそこで終了ではなく、日々のメンテナンスやアップデートも行わなくてはなりません。

特にオープンソースはセキュリティ対策も自己責任となるので、厳格な対策が必要で、費用もそれなりに発生します。

ニーズに合わせた、カスタマイズ性の高いサイトが実現

ASPは安価で簡単に構築できる分、できることの制限が大きくなります。ECサイトで実現したいことや欲しい機能がどんどん増えていくかもしれません。ニーズに合わせたサイトを制作するのには、それなりの専門知識を必要としますので、開発会社に依頼することがおすすめです。

開発会社に依頼すれば、欲しい機能を追加カスタマイズによって構築可能です。

まとめ

本記事では自社ECの構築方法の手順を紹介しました。

モール型との違いを説明し、それぞれのメリット・デメリットも挙げながら解説しました。

自社EC構築サービスが多様化し、高機能ながら低価格のものも増えてきています。

一方で、大規模なサイト作成では、カスタマイズ性を重視し、できることを実現させるためにも開発会社に依頼することのメリットも説明しました。

構築の依頼は高価になりやすく、システムを開発会社に任せてしまうと、他の会社に乗り換えたり、システムを移行させることが難しいといった注意点もあります。

それぞれの方法の良いところ、悪いところをしっかり確認し、予算やサイトの規模に合わせて選択しましょう。