越境ECは個人でも始められる?手順やメリットデメリットをご紹介

インターネットや運送環境の発達により、近年グローバル化はますます加速しています。それにより、インターネットを利用して、国内から海外に商品を販売する越境ECが益々盛り上がりを見せており、多くの企業が越境EC事業へと参入しています。

この流れに乗って、「越境ECを始めたい」、「海外に販路を拡大したい」と考える方もいるでしょう。そこで、本記事では、個人でECサイトを始めよと検討している方向けに手順やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。越境ECの概要についても記載しているため、越境ECを始めようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  1. 越境ECのメリット・デメリット
  2. 越境ECの始め方

越境ECとは?

越境ECとは、国内からアメリカやヨーロッパ、東南アジアなど様々な国や地域にインターネットを通して商品を販売する方法です。

外国の方に向けて商品を販売するということで、多言語対応、他通貨対応しているECモールまたは、ECサイトを利用して販売するのが一般的です。

国内のECとの違い

国内ECと越境ECの最大の違いは、購入ターゲットです。国内ECは日本国内の消費者を購入ターゲットとして選定しています。しかし、越境ECでは、欧米やヨーロッパ、東南アジアなどの外国人を購入ターゲットととして選定しています。そのため、越境ECは、国内ECと比較してより多くの人に商品を見てもらえる可能性が高まります。

グラフ1:物販系分野のBtoC‐ECの市場規模及びEC化率の経年推移(市場規模の単位:億円)

参考:令和2年度産業経済研究委託事業

上記のグラフは、令和2年に経済産業省が発表した、物販系分野のBtoC-ECの市場規模及びEC化率の経年推移です。グラフを見ると、2013年から2020年まで市場規模、EC化率共に緩やかに右肩上がりに拡大しているのが見て取れます。

グラフ2:世界の越境EC 市場規模の拡大予測

参考:令和2年度産業経済研究委託事業

上記のグラフは、令和2年に経済産業省が発表した世界の越境ECの市場規模の拡大予測です。グラフによると2019年には7,800億usドル(日本円で約85兆円)である世界の越境EC規模は、2026年には4兆8,200億usドル(日本円で約530兆円)にまで市場規模が拡大すると予想されています。

グラフ1から国内のECの市場規模も、拡大していることが分かりましたが、世界の越境ECは、国内のECをはるかに上回るスピードで成長しています。このように国内ECと越境ECは、購入者のターゲットの違いによって、市場規模や成長率にも大きな違いがみられます。

越境ECを個人で始める方法

越境ECは、企業だけでなく、個人でも簡単に始められます。現在、様々な越境ECモールや越境ECサイトをプログラミングやデザインの知識がない初心者でも作成できる商品やツールが豊富に準備されています。それらを使用することにより、個人でも簡単に越境ECを始めることができます。

本項目では、個人で越境ECを始める方法を解説していきます。

販売する商品を準備する

初めに、販売する商品を準備しましょう。日本製の商品は質の高さから外国の方に人気ですが、日本製なら何でも売れるわけではありません。

海外では、どんなものが好まれるのかしっかりとリサーチをした上で、販売する商品を決定できると良いでしょう。

ECサイトの傾向として、化粧品やアパレルは人気が高く販売しやすい商品です。また、日本の食品も海外から高い評価を得ているため、需要があるでしょう。

販売する国・地域を決める

販売する商品が決定したら、その商品をどこの国・地域に出品していくか検討しましょう。

市場規模的に考えると、欧米や中国などがあげられますが、近年急激な経済成長を遂げている東南アジアやインドなども候補として挙げると良いかと思います。

文化や宗教的な違いから、同じ商品でも国や地域によって、売上に大きな差が生まれます。自社で販売する商品がどこの国・地域なら売れそうか、しっかりと調べたうえで、販売する国・地域を決められると良いでしょう。

販売方法を決める

越境ECには大きく分けて下記の2つの販売方法があります。

1.越境ECモール

越境ECモールとは、1つのECサイトに様々な事業者が商品を出品する形式の販売方法です。

ECサイト自体に力があるため、集客を自分でする必要がないといったメリットがあげられます。しかし、他の出品者との差別化が測りにくい、価格競争に巻き込まれやすいといったデメリットもあるため、注意が必要です。

2.自分で越境ECを作成する

2つ目の方法は、自身で越境ECを作成する方法です。ECサイト作成をしたことがない方にとって、越境ECをいきなり作成するのはハードルが高いように思われるかもしれませんが、ShopifyなどのECサイト構築プラットフォームを利用すれば、プログラミングやデザインの知識がない初心者でも簡単に越境ECが作成可能です。

自身で越境ECを作ると、自社好みのデザインに仕上げられる、機能拡張などカスタマイズが容易であるといった自由度の高さがメリットとして挙げられます。一方、デメリットとしては、集客は自分で行う必要があるといったことがあげられます。最近では、YouTubeやTwitter、InstagramなどのSNSを利用しての集客が主流であるため、自社越境ECと並行して、SNS運用にも力を入れると良いでしょう。

以上のように、越境ECモールで販売する方法、自社で越境ECを作成する方法、それぞれの方法にメリットとデメリットが存在するため、しっかりと把握したうえで、どちらが自分で適しているか選びましょう。

越境ECを個人で始めるメリット

海外に販路を拡大できる

越境ECを行えば、販路を海外に拡大できます。本記事の冒頭でもお話しした通り、世界の越境ECは今後も急成長を遂げる可能性が大きく、日本と比較して相手にできる顧客数も非常に多いです。

越境ECを始めることにより、売上を伸ばしたり、毎月の売上を安定させるチャンスが得られます。

ランニングコストが安い

ECサイト構築プラットフォームの利用料は、多くの場合月額制のため、個人でも少ない負担で利用可能です。また、越境ECモールの販売手数料も、3%~10%ほどとそこまで高くありません。

このように、ランニングコストが安いため、個人も越境ECは簡単に始められます。

競合が少ない

日本では、自分と同ジャンルの商品を出品している方が多くても、海外にターゲットをずらすと、競合が少ないといったケースも見られます。競合よりもいち早く越境ECを始めて、ブルー・オーシャンを目指しましょう。

越境ECを個人で始めるデメリット

配送費が高い

国内配送と比較すると越境ECは海外に商品を配送するための、配送料が高い傾向にあります。また、関税がかかる場合もあるため、注意が必要です。

トラブル対応が難しい

トラブルが発生した場合、海外だと対応が難しいケースもあります。特に商品の誤配送だった場合、商品を配送するのに倍の送料がかかるため、配送する前に入念にチェックを重ねたうえで商品を発送しましょう。

海外の規制に対応しなければいけない

香水やアルコール、電子タバコなど国際配送で送れない商品は多数存在します。販売する国や地域の規制をしっかりと調べた上で、適切な商品だけを販売しましょう。

個人で越境ECを始める手順

①販売商品・販売国を決める

初めに販売商品と販売国を決めます。この際に、販売商品が販売国でニーズのある商品なのかしっかりとリサーチしておきましょう。

②規制や関税について調べる

販売商品と販売国が決まったら、その国の規制や関税を調べましょう。

規制は国によって大きく変わります。例えば、アメリカでは化粧品や医療品については輸入の制限が設けられています。食料、医療品については国によって、制限が大きく変わるため、入念にチェックしましょう。

③越境EC・配送・決済方法の選定

規制や関税について調べ終えたら、越境EC・配送・決済方法を選定しましょう。

越境ECモールを利用するか、自分で越境ECサイトを作成するか決めましょう。もし、自分で越境ECサイトを作成する場合は、作成方法と合わせて集客をどうやって集めるかも検討する必要があります。また、海外の配送業者には、日本よりも配達が荒い配送業者も多いため、注意が必要です。決済方法の選定は、越境ECモールであれば、既に決済方法が決まっているため、検討する必要はありませんが、自身で越境ECサイトを作成する場合は決済方法をどのようにするか自身で決める必要があります。

まとめ

本記事では、個人で越境ECを始める際の手順やメリット・デメリットを解説しました。

越境ECの市場規模は年々拡大しており、チャンスがたくさんあり、個人でも挑戦することが可能なため、越境ECに興味が湧いた人は、本記事を参考に越境ECを始めてみてください。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。