【飲食店編】成功事例からみる、売れている飲食店ECサイトに共通している5つの点とは?

新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの生活を大きく変え、飲食店を取り巻く環境も一変しました。

感染拡大防止のために外出自粛をされたり、緊急事態宣言の影響によって営業時間の短縮を要請されたりと、飲食店は大打撃を受け、多くの店舗が苦境に立たされました。

しかし、先行きが見通せない中でも難局を打開すべくさまざまな案を模索しています。

テイクアウトの強化や宅配など多くの方法がありますが、その一つが飲食店ECサイトです。通販事業を新たに始め、これまで足を運べなかった消費者にも届けられるようになりました。

本記事では飲食店ECサイトの成功事例を4つ紹介し、売れている飲食店ECサイトの共通点を5つ解説します。

この記事でわかること

  1. 成功した飲食店ECの具体的な事例がわかる
  2. 売れている飲食店ECに共通している特徴がわかる

飲食店ECの市場規模は?

経済産業省が公表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の日本国内のBtoCのEC市場規模は、19兆3,000億円でした。

また、BtoBのEC市場規模は334兆9,000億円であり、前年比からやや減っていますが、どちらもほぼ横ばいです。

一方で、EC化率は、BtoCが8.08%で前年比1.32%増、BtoBが33.5%で、前年比1.8%増とどちらも増加傾向となっています。

中でも「食品、飲料、酒類」の分類の伸びは顕著であり、2020年市場規模が2兆2,086億円と、前年比21.13%の増加となりました。

そしてEC化率は3.31%と他の業種と比べて圧倒的に低いため、それだけ市場拡大の可能性が大きいということが言えるでしょう。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

飲食店ECの成功事例4選

実際に飲食店でECサイトを開設したり、EC事業に注力した事例を見ていきながらイメージしていくと良いでしょう。

本記事では、飲食店ECの成功した事例を4つ紹介します。自社店舗のEC構築の参考としてください。

スースーデリ

https://suusuudeli.com/

「スースーデリ」は、株式会社SUU・SUU・CHAIYOOの自社サイトです。顧客となる消費者の喜びを大切にし、タイ料理を通じてのタイの文化や人々の魅力を伝えています。

スースーデリでは、本格的なタイ料理が自宅でも気軽に楽しめるよう冷凍食品の取り扱いを行っています。

「タイ料理とタイ文化の普及を通じて社会貢献をする」というビジョンを大切にし、社内で同じ方向を向くことが普段から共有できていたため、ECの新事業もスムーズに開始できました。

冷凍食品のECサイトの販売で成功の鍵となるのが、商品力と生産能力です。商品があっても生産能力がないと安定して稼ぐことはできず、反対に高い生産能力を持っていても商品が人気でなければ売上が上がりません。

商品開発で重視したのは、商品の独自性です。店舗の強みである100%タイ人のシェフによる特徴を生かしながら、ユーザーの意見を取り入れて商品開発を行っています。

生産能力は、セントラルキッチンを稼働させ、急速冷却冷凍装置を導入するなど最新機器を導入し、商品力に磨きをかけています。

ツバメコーヒー

https://www.tsubamecoffee.net/

「ツバメコーヒー」は、新潟県燕市に店舗を構えるカフェです。

自宅で過ごす時間が増える人に向けて、需要をいち早く察知し、新たなメニューを考案しています。

新メニューには「おうち時間セット」や「自宅待機セット」など、ネーミングの工夫もしたためにSNSなどで言及されるようなものもありました。

ネーミングとともに、ショップページの見栄えの良さや、おしゃれなパッケージデザイン、コーヒー以外の商品開発にも力を入れるなど他店と差別化したことも成功の要因です。

ロゴは同じ新潟県出身のイラストレーター大塚いちおさんが手掛けています。大塚さんのロゴの印象に合わせ、ECサイトも柔らかい雰囲気となっています。

サラベス

https://store.sarabethsrestaurants.jp/

「サラベス」は株式会社WDI JAPANのニューヨークレストランです。日本国内では東京都に3店舗と愛知県に1店舗の計4店舗があります。

コロナ禍でECサイトをオープンし、サラベスを世界的に有名とさせるきっかけとなった甘さ控えめのジャムであるフルーツスプレッドや、サラベスのロゴマークがついたマグカップやトートバッグなどのオリジナルグッズを販売しています。

オリジナルグッズは実店舗で商品の販売を行っていましたが、実店舗へ来店できない状況が続いたため、自宅でも気軽に購入できるようにとECサイトを開設しました。

ECサイトで購入可能な商品のラインナップは少しずつ拡大しており、実店舗でも提供されている人気メニューの購入や、ECサイトでしか手に入らない商品の販売も行っています。

自宅用以外のギフト用のセットも多数取り揃えており、いろいろな用途でショッピングができるようになっています。

HiO ICE CREAM

https://hioicecream.com/

HiOLIが展開しているクラフトアイスクリームの製造や販売を手掛ける「HiO ICE CREAM」ではECサイトにも注力しています。

商品の販売にとどまらず、食材の生産者の想いも伝わってくるようなサイトになっています。

大量生産にこだわらない、美味しさを最優先にした小ロットのスモール・バッチという形態で製造しています。

特徴は、アイスクリームのサブスクリプションサービスを手掛けたことです。毎月さまざまな味のアイスが送られてきます。

ECサイトを「本店」と位置付け主な販路としながら、店舗も東京の自由が丘にオープンしています。

クラフトのアプローチを伝えるため、都心部からアクセスが良くて、こだわったお店が軒を連ねる落ち着いた雰囲気の街に出店したかったため、自由が丘を選んだということです。

リアルの店舗を通じた体験価値を提供した施策により、集客が多くなっています。

売れている飲食店ECに共通している5つの点

売れている飲食店ECには共通している特徴がいくつかあります。

本記事では5点のポイントを詳しく解説していきますので見ていきましょう。

ECサイトの種類の選び方や商品の販売戦略、集客のSEO

ECサイトには大きく分 けて、モール型と自社型があります。

自社の規模や、扱う商品に応じてECサイトの構築方法を選択しましょう。

ECサイトの種類や構築方法については、「ECサイトとは?開設前に知っておきたい基本機能や運営方法をわかりやすく解説します!」で詳しく解説していますのでご参照ください。

ECモールに出店していれば、相応の費用はかかりますが、ある程度の集客を初めから見込むことができます。

しかし自社ECの場合は集客が必要となります。集客しないと誰にも見てもらえないので、売上が立ちません。

ECサイトを立ち上げたあとの集客戦略も重要となるでしょう。

商品の差別化、オリジナリティ

商品をオンライン展開する企業が増えています。

ECサイトでも同様に増加による競争が激しくなっているため、差別化やオリジナリティを出した商品開発によって顧客を獲得する必要があるでしょう。

消費者にとって唯一無二の存在となれるか、自社の強みを磨いてオリジナリティを作り出していくことが欠かせません。

また商品数が多いショップの方が、SEO関連でも有利となるので検索に引っかかりやすくなります。

オリジナリティある商品とともに、コンセプトが共感できる他の商品を扱うことで、より商品数を増やすことができるでしょう。

安心してもらえるよう情報の掲載

ユーザーが安心して商品を購入できるようさまざまな情報の掲載をすることをおすすめします。

以下の情報をECサイト上に掲載すると良いでしょう。

  • 電話番号の表示
  • 顔写真の掲載
  • ショッピング利用ガイド、規約の要約情報の表示
  • 決済方法の表示

また、食品を扱うお店にとって最も重要な安全面や衛生面についても記載が必要です。

管轄の保健所に相談し、取得の必要がある許認可を確認しましょう。

飲食店を経営していれば大抵の部分は押さえてあると思いますが今一度確認し、ECサイトにも取得済みであることをきちんと表示しなくてはなりません。

また販売する商品には食品ラベルを貼り付ける必要があります。

おしゃれでわかりやすいサイト設計

お店のコンセプトや雰囲気が伝わるようなおしゃれなデザインのサイトにすれば、ユーザーも楽しんでショッピングをしてもらえるでしょう。

リピーターの獲得にも貢献します。

しかし、ECサイトへお客さんを呼び寄せても、サイトがわかりづらいと離脱してしまう可能性が高まります。

デザインだけが優れていても、サイト設計がしっかりしていないと商品が探しにくかったり、購入しにくかったりとユーザーをわずらわせてしまいます。

お客さんが商品を購入するまでの導線をしっかりと作る点が重要です。

SNS発信など顧客とのコミュニケーションを重視

リピーターになってもらうことも売上を拡大する大きな要素です。

せっかく苦労して集客して購入してもらっても、一度きりで終わってしまっては売上の拡大にはつながりません。

顧客情報をどのように活用するかも考えましょう。

リピーターになってもらえるように顧客とのコミュニケーションを重視しましょう。

SNSの活用や、メールの発信など積極的に行いましょう。

まとめ

本記事では飲食店のECサイトについて解説しました。

コロナ禍で飲食店を取り巻く環境は激変し、顧客との接点を途絶えさせないようさまざまな手法を模索しています。

本記事で取り上げたECサイトへの参入もその一つですが、競争は激化しています。

その中でも生き残るための成功につなげるためのポイントを紹介しました。

成功事例や成功した店舗の共通点を参考に、ECサイトの構築に役立ててください。