海外向けのECサイトを小〜中規模で始める際に抑えておきたい5つのポイント

ECサイトを運営するにあたって、日本国内だけでなく海外も視野に入れて始めたいと考えている方も多いでしょう。

そんな時に気になるのが、海外のお客様に対応可能かどうかという点です。

日本と海外では商品の発送はもちろん、決済方法も違ってきます。

また大きな壁として言語の問題もあります。

話せないけど大丈夫? と不安に思う方もいるでしょう。

そのため海外向けにECサイトを運営するなら、解決しておきたい部分がどうしても出てきます。

本記事では海外向けのECサイトを運営したいと考えている方に向けて、ここだけは抑えておいて欲しいポイントを解説します。

この記事でわかること

  1. 越境ECを始めるまでの流れ
  2. 越境ECを運営するうえで抑えておきたいポイント

海外向けECとは

インターネットが普及し、Amazonのようなネットショッピングサイトを通じて誰でも欲しい商品を注文することができるようになりました。

国内でいえばAmazonの他にも楽天やYahoo!ショッピングといったように、様々なショッピングサイトが運営されています。

今日、それらを利用したことがある人が圧倒的に多い時代です。

そんな中、国内だけでなくより成長が期待できる海外へと視野を広げる動きが出始めています。

海外向けECとは、そんな海外に向けてネットショップを運営することを指し、国境緒越えることから「越境EC」とも呼ばれます。(以降、越境ECと記載します)

越境ECの成長率はコロナ禍によって更に伸び、経済産業省の調査によると対アメリカで1兆7,108億円の7.6%増、対中国ともなると4兆2,617億円の16.3%増となっています。

また新興国においてもインターネットの普及が徐々に進んでいるため、今後越境ECを利用する層が増えることは間違いありません。

そのように、越境ECは今後も伸び続ける市場であるというのは疑いようがないでしょう。

人口減少によって徐々に市場規模が小さくなりつつある国内よりも、海外の顧客向けに市場を開拓する越境ECは大きなチャンスを秘めています。

越境ECサイトを始めるまでの流れ

今後の販路拡大手段として期待できる越境ECですが、始めるにはどのようにすればいいのでしょうか。

越境ECサイトとはいえ、基本的にはお店を出店するのと変わりません。

以下の流れで行うようにしましょう。

  1. 商品を用意する
  2. 販売するターゲット国を決める
  3. 越境ECで出店するサイトを決める
  4. サイトに申し込む/サーバーを借りる
  5. サイトを構築する
  6. 配送方法を決める
  7. 販売開始

見ていただくとわかるように、国内でECサイトを出店するのと方法は変わりません。

それぞれ詳しく見てみましょう。

1.商品を用意する

ECを始めるにあたってまず必要なのが、商品の用意です。

用意する際は、以下の項目には気をつけるようにしてください。

  • 在庫数
  • 商品がターゲット国の法律でどのような扱いを受けるのか

日本では大丈夫な場合でも、海外だと販売できなかったり、そもそも輸入禁止の対象になっている可能性すらあります

いざ商品を準備しても出荷できれば意味がありませんので、事前に必ず調べておきましょう。

2.販売するターゲット国を決める

商品を用意するのと同時に販売するターゲット国を決めましょう。

日本から越境ECを行う場合、アメリカと中国が二大候補です。もちろんそれぞれ需要が異なってきます。

例えば中国の場合、化粧品の人気が高いのですが、アメリカだと衣類や靴・アクセサリーが人気です。

取り扱う商品によっては利益を見込めなくなる可能性すらあるため、慎重に選ぶようにしましょう。

3.越境ECで出店するサイトを決める

取り扱う商品をターゲット国を決めたら、次は出店するサイトを決めましょう。

その際、出店方法は大きく分けてると以下の3種類になります。

  • 国内にある海外対応のモールに出店する
  • 海外にあるモールに出店する
  • 独自のECサイトを構築する

基本的に国内にある越境EC対応のモールに出店するのが一番簡単です。

複雑な手続きを行う必要もなく、海外販売機能の申し込みを行うだけで活用できます。

不明点やトラブルも解決しやすいため、初めて越境ECに挑戦する場合は国内にある海外対応のモールに出店するのがオススメです。

反対に海外にあるモールに出店した場合、運営事業者との交渉や法的な手続きが必要になるため、時間と手間がかかります。

場合によっては代行会社のサービスも必要になるでしょう。

独自のECサイトを構築する場合、手数料や契約料が一切かからずデザインも好きにできるメリットがありますが、大量のリソースが必要なため資金力のある企業以外は難しいのが現状です。

4.サイトに申し込む/サーバーを借りる

出店するサイトが決まったら、そのサイトに申し込みましょう。

国内のサイトの場合、特別何か必要な手続きがるわけではありません。

越境ECに申請が必要な場合があるため、忘れずに申請してくださいね。

5.サイトを構築する

サイトに申し込んだ後は、サイトを構築しましょう。

越境ECの主なターゲットは、海外のユーザーです。

そのため販売する商品を海外向けに翻訳しなければいけません。

英語だけでなくフランス語やスペイン語、中国語といった多言語への対応が求められるケースもあります。

なるべく翻訳する多言語を多くしておくと、それだけさまざまな国の利用者に刺さるためオススメです。

6.配送方法を決める

国内ECと同じように越境ECでも発送方法を決めておきましょう。

特に海外へ向けての発送になるため、どの配送業者を使うかによっても送料が大きく変わる場合があります。

また配送方法と同時に、配送遅延や商品破損によるキャンセルにもスムーズに対応できる体制を整えておくことです。

お客様からの問い合わせにすぐに対応できる窓口を作っておくことで、トラブルを防ぐことができます。

配送時の商品破損といったトラブルには、配送業者の保証を活用するといった方法を取るようにしましょう。

7.販売開始

全ての準備が整ったら、お店をオープンして販売を開始しましょう。

準備を万端にして初めても、予定していなかったトラブルが発生するものです。

そんな場合でも丁寧に対応し、お店のファンを作っていくことを心がけてくださいね。

抑えておくべき5つのポイント

越境ECを始めるなら、これだけは抑えておいて欲しい5つのポイントがあります。

国内向けのECと同じようにただ利用するのではなく、抑えるところをきっちり抑えて成功に導きましょう。

本記事で紹介する抑えておきたいポイントは、以下になります。

  • 販売代行サービスを利用する
  • 市場調査サービスを利用する
  • 商品を魅力的に伝える
  • サンクスメールorサンキューレターを使う
  • 購入してくれた人にオファーをする

それぞれ詳しく解説します。

販売代行サービスを利用する

越境ECを運営する際、言語や決済手段、配送手続きといった課題に直面します。

独自でそういった課題を解決するのもひとつの方法ですが、販売代行サービスを利用するという手があります。

販売代行サービスとは、海外に住んでいる顧客の代わりに日本国内にあるECサイトの購入を代行するサービスです。

海外在住の人からすれば自分が直接対応しないため購入までのハードルが下がりますし、気軽に利用できます。

反対に越境ECを運営する側としても、顧客と直接やり取りしないため、言語の壁のような問題が発生しなくなります。

特にメイド・イン・ジャパンの商品は海外でも人気が高いため、日本国内限定で販売されている商品を求めている海外の顧客は多いのが現状です。

そういった時に、海外向けの顧客にも対応できる販売代行サービスを利用することで、日本国内で販売しているような手順で商品を販売できるようになります。

販売代行サービスは、越境ECをする上で心強い味方となってくれるでしょう。

市場調査サービスを利用する

日本国内と違い、海外の市場を調査するのはなかなか難しいという方も多いでしょう。

越境ECをするからには、ターゲットとする国の市場ニーズにあった商品を販売したいと思うのは当然です。

そういった時に、市場調査サービスを利用することで、ターゲットとする国の国民性やニーズが把握できます。

売上を伸ばしたいのなら、市場調査は必須です。

長時間をかけて独自に市場調査を行うのなら、市場調査サービスを利用してその国の国民性やニーズ、動向などを深掘りしてもらいましょう。

そうすることで、よりターゲットに刺さる商品を効率的に販売することも夢ではありませんよ。

商品を魅力的に伝える

越境ECだけではありませんが、商品を魅力的に伝えることは何よりも大切です。

その商品の詳細はもちろん、伝わりやすい魅力的な説明文にすることを心がけましょう。

近年ではGoogle翻訳のように気軽に翻訳してくれるサービスもありますが、中には意味が通じない文章になる可能性もあるため、なるべく翻訳会社などを利用することをオススメします。

魅力的な言い回しで相手に説明したい場合は特に重要です。

また言語の壁を必要としない写真には、妥協せずにこだわりましょう。

写真ひとつで商品の売れ行きを左右するくらい重要なため、高画質にしたり様々な角度から撮影したりすることでよりユーザーに訴求することができます。

納得のいくまで撮影し、渾身の一枚を掲載するだけでも売上が大きく変わりますよ。

サンクスメールorをサンキューレター使う

商品を買ってくれた人にお礼を伝える方法として有効なのが、サンクスメールやサンキューレターといった手法です。

普段ECサイトを利用していて、購入した商品にお礼が入っていたという経験は、誰しも一度くらいはあるでしょう。

商品を購入してくれたことに感謝の気持ちを伝えることで、ファンになってくれる人も中には出てきます。

越境ECの場合それが顕著となり、購入者も自分たちの言葉が通じていないかもしれないという前提で買い物をします。

そうした中で購入者の国の言葉でお礼が入っていた場合、嬉しい気持ちになるのは人として当然です。

小さなことですが、ファンとなって購入し続けてくれる可能性もあるため、越境ECを運営する際は必ず意識しておきましょう。

オファーをする

越境ECを通じて相手のメールアドレスを取得できた場合、オファーを送ることで販売促進に繋げることが可能です。

例えば、商品を購入してくれた購入者に対して、似たような商品の紹介をメールで行います。

もちろんメールを送りすぎたり、相手が不要だと言っているのにも関わらずオファーしたりといった迷惑行為は禁物です。

特に日本限定の商品の場合、海外ではなかなか手に入らないため喜ばれるケースも多々あります。

越境ECサイトを運営するのであれば、抑えておきたいポイントですね。

まとめ

海外向けECは越境ECとも呼ばれ、今後ますます成長が期待される市場です。

そのため越境ECを始める際は、海外の顧客を相手にするという前提で準備をしなくてはいけません。

国内向けのサービスあっても越境ECが対応可能なものもあるため、まずはそういったサービスから利用すると始めやすいでしょう。

肝心の顧客層ですが、アメリカと中国の顧客が大きな割合を占めているものの、その二国において求められている商品カテゴリーが大きく違います。

商品を準備する際はターゲット国を決めないと、せっかく準備した商品が売れなくて困ってしまうことにもなりかねないため、市場調査はしっかり行いましょう。

越境ECでは販売代行サービスといった専門のサービスもあるため、多言語に不慣れな場合は利用するのも有効です。

特に購入者にサンクスレターやオファーといった情報を発信する際には力強い味方となってくれます。

越境ECを運営する上で足りないものを把握し、解決するようにしましょう。